初級の勉強の進め方を解説していきたいと思います。
まず、初級の定義から始めたいと思います。
以下の項目を読んで、当てはまるかどうかチェックしてみてください。
〇 中学の教科書ならどこを読んでも内容を理解できる。
〇 英文を読むときに、返り読みと言われるような、行ったり来たりしながら読むのではなく、前から読んでいって、意味が取れる
〇 単語はちょっと分からないものがあるが、全体の80パーセントは分かっている。
〇 五文型を説明することができる。
〇 品詞を説明できる。
以下の項目に当てはまった方は中級からスタートして大丈夫です。
上記の項目のどれか一つでも該当しない項目がある場合は、初級から始められることをお勧めします。なぜならば、大学受験で難関大学と言われる大学の入学試験に合格したとしても、勉強の穴があることが多いからです。
勉強を初級からやり直すことで、土台の穴を埋めることが出来ます。穴のない土台の上なら安心して建物を建てられます。しかし、大体できているだろうと思って、自分では気が付かない穴がある土台の上に建物を建ててしまったとしたら、建物はグラグラしてきます。その上、建物を建て始めてしまったので、グラグラの原因が建物なのか、土台なのか分からない。多くの場合は、建物のほうばかり見て、そこに穴を探そうとしますので、土台に空いた穴にたどり着くのに時間がかかってしまうでしょう。
一方、本当に土台に穴が無かったとして、それでも土台の点検から入ったら、点検だけなので、時間もあまりかかりません。その後の建物を建てる時に、万が一グラグラしたら、建物だけ確認すればいいので、すぐに問題点を探し当てることができるでしょう。
英語に限らず、勉強は基礎が一番大切です。基礎イコール簡単と捉えている人も多いのですが、基礎が必ずしも簡単なのではなく、最初に学ぶ必要があるから基礎なのです。
初級と中級のどちらからスタートするか迷われている方は、どうぞ初級から始めてください。
英語の勉強は、本来ならば同時並行して複数の分野をこなせるのが理想です。例えば、一日の内に単語の本5ページ分と英文法の本10ページ文の両方を勉強する。でも、学生ならまだしも、時間が限られている社会人の方ですと、この一緒にやるのが、なかなか難しい。一日おきと決めても、「昨日、中途半端で終わった文法の本を少し読んでから、単語を勉強しようかな。でも、また時間が無くなって、単語を勉強できないかな…」と悩んでしまうこともあります。結局、悩むことに時間を費やして、実際の勉強は少ししかできなかった。また、どちらかに決めてやり始めたものの、もう一つの方が気になって、集中できなかったということもあるでしょう。
能力開発工房では、一つ一つ終わらせていく勉強方法を提示していきます。しかし、終わらせた教材を振り返ってはいけないことを意味しているわけではないので、勉強を進めて行く中で、前に終わらせた教材を参照したいと思ったら、いつでも見てください。最初に読んでいた時よりも深く理解している自分に気づかれるて、勉強の進捗度合いをご自身で実感できることでしょう。
1.最初は知識からの『くもんの中学英文法』
全部を通読します。具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
2.品詞と文型の基礎『英語リーディング教本』
初級者にとっては難しい本ですが、この本を読むことで、文型と品詞とは何なのかが分かります。とは言え、初級者にとっては例文が難解ですので、さらっと通読して、用語を聞いた時に、ぼんやりイメージが出る程度までで構いません。勉強が進むにつれて内容の理解が容易になると思いますので、いつでも手元に置いておきましょう。当HPの勉強法のページには中級者向けの勉強法が出ていますので、勉強が進んだときは、参考にしてください。
3.中学英語をドリルで定着させる『完全マスター中学英文法』
『くもんの中学英文法』で、文法事項を一通り頭に入れたものを定着させていきます。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
4.中学英語を使いこなせるようになる『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』
『完全マスター中学英文法』と同様、中学英語の定着を狙うものですが、もう一つ目的があります。瞬間的に英文を作成する能力は、英文の文型を瞬時に判断する能力と直結しています。つまり、実際に洋書を読むようになった時に、読んでいる英文の文型がすぐに分かるので、もたもたせずにスラスラと読むことができるということです。ゆっくりなら読書できるけれど、なかなか早く読めないという中級の方にも、お勧めのトレーニングです。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
5.中学の英単語と熟語のおさらい『例文で覚える中学英単語・熟語1800』
『どんどん話すための瞬間英作文』まで進める間に、かなり英単語力は身についていると思います。この本で中学レベルの単語と熟語が暗記できているか確認するつもりで取り組んでください。また、『どんどん話すための瞬間英作文』で始まった品詞分解を定着させていく意図もあります。『どんどん話すための瞬間英作文』では、例文が文法項目順に並んでいたので、一番上の文の真似をすれば、品詞分解を機械的におこなうこともできます。しかし、こちらの『例文で覚える中学英単語・熟語1800』は、5段階レベルごとに使用される文型は限定されていますが、そのレベル内では、文法についてはランダムなので、自分の力で文型を見抜く必要があります。悩まずに品詞分解ができれば、文型が分かっていることが自分でも判断できます。
独学の場合、適切なタイミングで次に進めて行くことが勉強の一番の肝になります。分からないことに固執し過ぎて、もう少し先に行けば、全体像がつかめて理解できるのに、そのチャンスを失くしてもいけないですし、定着していないのに、分かった気になって進めてしまっても、先に行った時に分からなくなってしまいます。
この『例文で覚える中学英単語・熟語1800』の英文の品詞分解をするのに、あまりにも時間がかかり過ぎるのであれば、一度戻って『どんどん話すための瞬間英作文』をおさらいするのもいいでしょう。
6.いつでも手に取れるところに置いておきたい『徹底例解ロイヤル英文法』
この本は、今まで紹介してきた本とは異なり、真の意味での参考書です。分からない時に調べる辞書だと思ってください。とは言え、最初の頃は使わないで、本棚に飾っておく状態が続くかもしれません。文法事項の名前が分かるにつれて、頼りになる相棒に変わりますので、それまでは、たまにパラパラめくったり、索引を眺めたりしてください。
以上が中学英語です。
では、続けて高校英語の解説です。
7.英文解釈初めの一冊『英文解釈教室入門編』
とうとう英文解釈の参考書です。これが終わるだけでも、辞書さえあれば、簡単な本は読めるようになります。よく「辞書があれば洋書を読める」と言うと、「そんなの当たり前じゃん」と言う人がいるのですが、そんなことはありません。辞書があっても文型を初めとした文法が分からなければ、知らない単語を調べようとしても、10も20も意味が書いてある中で適切な意味を選ぶことができません。つまり、辞書はあるけど、読めない状態ということです。勘違いして、翻訳をされている人は辞書を引いてないと思う方もいますが、プロの翻訳家の方たちこそ頻繁に辞書を引かれるそうです。ですので、辞書さえあれば読んでいけるというのは、かなりのレベルなのです。まだ、この本だけでは全部の構文を網羅していないので、どんな本でも読めるとは言い難いのですが、これだけでも子供向けの洋書を読むことは可能です。しっかり学習して自分のものにしてください。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
8.大人向けの洋書もチャレンジできる『ビジュアル英文解釈』
『英文解釈教室入門編』に続き、英文解釈用の参考書です。ここまでくれば、大人向けの洋書も読む力がつきます。シェイクスピアのような古英語や、専門知識がなくて英語ではなく、日本語で読んでも分からない本は別ですが…。著者の伊藤先生が、「『ビジュアル英文解釈』の内容を自分のものにできたら東大に合格できる」と、おっしゃっていたそうです。この本の学習が終わった段階で、簡単な洋書にトライするのもいいですね。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
9.高校英単語『英単語WIZ1900』
『ビジュアル英文解釈』までの間に、かなりの英単語は暗記していると思います。ここでは抜けている単語だけをまとめて暗記しましょう。例文は『ビジュアル英文解釈』を終わらせた方には、簡単に感じられると思います。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
10.英熟語も忘れずに!『速読英熟語』
『英単語WIZ1900』で英単語、こちらの『速読英熟語』で英熟語を勉強することで、洋書を読むときに辞書を引く回数を減らすことができるでしょう。
能力開発工房で紹介する英単語と英熟語の暗記方法は、いずれも英文の中で暗記するものです。単語だけを取り出して闇雲に暗記するのと違い、実際に洋書を読んだときに思い出しやすくなります。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
11.『英文解釈教室基礎編』でダメ押し
『速読英熟語』までで洋書を読めるようになっているはずですが、実際に読んでみたら、構文にサッと反応できない感じがすることもあります。慣れの問題ではあるのですが、洋書には、英文解釈の正解が書かれているわけではないので、自分の解釈で合っているのか確信がもてず、不安になることもあります。もう少し勉強して自信を持ってから洋書に進みたい方には、こちらの『英文解釈教室基礎編』をお代りとして勉強することを勧めます。また、能力開発工房の勉強方法は同じ参考書を1回で終わらせず、繰り返し学習するので、暗記が得意な方は、ついつい分かった気になりやすいです。そういう方にも、こちらの『英文解釈教室基礎編』で、違う英文を読むことで、本当に理解していたのか、丸暗記だったのかが分かります。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
12.ダメ押しその2『テーマ別英文読解教室』
この本は必ずやるべき参考書ではありません。上記の『英文解釈教室基礎編』の更なるお代りとして使用してもいいですし、『ビジュアル英文解釈』のあと、こちらの『テーマ別英文読解教室』に進んで、納得できたら洋書に煤でもいいでしょう。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
13.手元に置きたい『チャート式新々総合英語』
この参考書も5で紹介した『徹底例解ロイヤル英文法』と同じように分からない文法事項を辞書のように引くために使うことができます。また、できれば、一度洋書を読む前か、読みながらのタイミングで通読されると、文法事項が頭の中で整理されます。
14.最後の総仕上げ『英文解釈教室』(正編)
ここまで来なくても洋書を読めると思います。しかし、内容が哲学的だったり、少し古い本だったりすると、構文的の分からない英文が出てくることもあります。日本語の読書と同様、少し分からないことならば、前後関係から類推して、内容を理解することはできますが、モヤモヤしているのが嫌いな方は、この『英文解釈教室』(正編)で、しっかり勉強してください。
具体的な勉強方法は、勉強方法のページを参照ください。
以上が能力開発工房の洋書を読むための勉強の進め方です。洋書を読むための勉強に特化はしていますが、読解能力というのは、読むだけでなく、聞いたり、話したり、もちろん書いたりするための基礎になります。この勉強をベースにTOEICや英検の勉強をなされば、きっと効率よく学習できるでしょう。
英語で書かれた原書を読みたい皆様の、お役に立てれば幸いです。