能力開発工房の個人英語コーチングですが、個人にカスタマイズしているので、どういう風に進めるのかイメージしにくいと思います。

何人か受講していただいた方の例を出しますので、参考になさってください。

 A君の例

A君は高校の途中で不登校になり、英語から遠ざかっていました。父親の紹介で塾長と会ったのは、A君が20代の半ばでした。A君は真面目で人の気持ちを思いやる性格の持ち主。そのため、親の期待との間で引きこもってしまったようでした。しかし、高校時代に部長をやるなど、元々は面倒見のいい活動的な面を持っているのは、話をすると分かりました。

A君は好きなゲームをちゃんとした英語で海外に紹介したいという夢のため、英語を勉強することを決意し、能力開発工房の英語コーチングを受講し始めました。つまり英作文が出来るようになることが最終目標ですが、最初は一般的な英語力をつけることを目標にしてカリキュラムを組みました。月に2回で12時間のペースで通うことになりました。

 最初の英語力は、本人曰く、「中学校の時、英語は得意」ということだったので、中学英文法を説明してもらうも、何も言えない状態。同じく『どんどん話すための瞬間英作文』の英文は、全く英作文出来ない状態からスタートでした。

 中学の英文法から学習を開始。

最初の1年間は下記の本を中心に勉強を進めた。

1.英文法の本である『忘れてしまった中学英語を復習する本』(島田浩史著)を読んで理解し、それを授業の時に説明してもらいました。この本は、とても良い本なのですが、現在は残念なことに販売していません。

当塾は独学をしてもらう塾なので、説明するのは塾生の方です。A君も最初は授業形式ではないスタイルに面食らって、「先生は教えないんですか?」と、言っていました。

能力開発工房では、本当に分からない所があれば教えますが、分からない所がある場合も、出来る限り他の参考書で詳しく書かれているものを読んでもらい、自力で理解してもらうのが基本であるため、基本書以外にも何冊か読んでもらいました。

2.『どんどん話すための瞬間英作文』(森沢洋介著)をタラタラと進めました。

本来なら『どんどん話すための瞬間英作文』は、長くタラタラやるべきではなくて、どんどん回すべきものです。A君はバイトをしているものの、自宅で両親と同居しているので、家事一切は母親がやってくれるという有難い環境に居たので、勉強のために13時間は取れる環境にいました。しかし、勉強から遠ざかって5年以上経っているので、勉強する習慣が無くなっていて、勉強が進まない。尚且つ、不登校になっていたため、自分に対して自信を失っているので、そのリハビリをかねて、ゆっくりペースで進めることになりました。最初の半年くらいは、A君に「次回までに『どんどん話すための瞬間英作文』を何ページ勉強できますか」と尋ねると、「う~ん、1ページ」と言われていました。心の中で「次回まで2週間もあるよ」とか、「このペースじゃ、いつ終わるんだろう」と、つぶやきまくっていましたが、A君のペースで進めてもらいました。リハビリが終われば、勉強時間が増える確信があったのです。

3.『英語ベーシック教本』を読んでもらって、英文の構造を口頭で解答してもらうことを目指しました。

 上記の英語の学習状況の確認をしながら、勉強を続ける秘訣や、集中力を向上させるやり方なども教えていきました。いつの頃からか、コーチングの後の雑談の時でさえ机にノートを出して置き、勉強に活用できるコーチングのチップスなどが話題に上がると、A君自身が、ためになりそうだと思う箇所を自発的にメモするようになりました。本当に単なる雑談のつもりで話す時にメモすることがあったので、たまに焦ることもありましたが…。

 1年経過したころ、A君から大学受験してみたいとの話が出ました。この頃には、最初の頃と比べて、性格的にしっかりしてきており、初めて会った時に感じた子供っぽい感じは無くなっていました。本当のA君らしさが全面に出ているようになっていたので、きっと大学受験も乗り切れるだろうと思いました。

A君は勉強にも慣れ、1日に長時間英語の勉強をすることもできるようになっていましたので、勉強する量も増やしました。それでも、全てのテキストを順調にこなしたわけではありません。『みるみる英語力がアップする音読パッケージ』(森沢洋介著)は、リピーティングが出来ないということで、途中でやめて、中学校の教科書の音読500回に切り替えました。1年生から3年生までやる予定でしたが、受験するまでに進んだのは2年生の途中まででした。

A君に後で聞いたところ、”For here, or to go?” 等の簡単な英文を音読している時は、正直つまらないし、辛かったそうです。途中、停滞した時期もあり、その時は「1年生のテキストが終わったら遊びに行こう」と誘ったりしました。なんとかモチベーションを維持して頑張ってくれました。この教科書500回音読が英語体質を作るのに一役買ったようで、英語を理解するスピードがどんどん伸びていきました。

当塾へ通うペースは、そのまま月2回。しかし、1回につき2時間で終了することはなく、5時間くらいかかっていたと思います。

最初は普通の3教科(英語、国語、世界史)で受験する予定で、英語以外の教科も勉強し始めました。古典と世界史も能力開発工房が面倒を見る予定でカリキュラムを組んだのですが、勉強開始後すぐに、A君の「古典が苦手なのでAOで受験したい」という申し出があったため、受験日は半年近く早くなりますが、英語一教科で勝負できるAO受験に切り替えました。

ただ、能力開発工房は、その当時エッセイライティングを指導することはできなかったので、半年だけ予備校にも通ってもらうことにしました。また、試験の情報も予備校から得てもらうことにしました。

予備校に申し込みに行ってもらったところ、予備校の担当者はAO受験まで半年しかないので、受験に間に合わないのではないかと危惧したらしい。しかし、入学に当たってテストした結果、合格圏内の英語力を持っていると判断され、予備校に入学することが出来ました。

A君はそれから半年、本当に頑張りました。能力開発工房で出した課題は、かなり多かったですし、もちろん予備校の予習復習もあります。受験を決めてからバイトを辞めていたとはいえ、かなり勉強に時間を割いていたようでした。

ご両親の話では、トイレにまで勉強本を持っていったり、いつでも英文をブツブツ唱えていたりと、本当に頑張ったようです。

受験前後に受けたTOEICは900点越え、TOFULibit108点でした。

能力開発工房で勉強を始めて2年後の秋、無事、AOW大の国際教養学部に合格しました。ちなみに、その年W大の学部長が欧米人から日本人に変更になり、大幅に入試の傾向が変わりました。A君と同じ予備校の生徒たちは、かなりの人数がW大の国際教養学部のAO入試を落ちたらしいです。しかし、彼は能力開発工房でテスト対策ではない本物の英語力を身に着けていたので、無事合格することが出来ました。

A君は受験が終わった後、勉強してきたテキストの数を見て、その量に自分でも驚いたそうです。多分110分やるか、やらないかだったA君ですが、最後には一日8時間くらい勉強していたみたいです。独学力と集中力がつけば、変われることを示してくれました。