2019年センター試験英語第四問 構文解析講義4
ゆみこ:こんにちは
今回で2019年英語センター試験の構文解析シリーズも最終回です。
ラッコ:まあ、最終回ですけど、センター試験の英語の第4問の問題文の構文解析だけ
ですよね。
これ、続かないんですか?
ゆみこ:うーん。読者の希望があれば続けるかも…。
ラッコ:相変わらず消極的ですね。
ゆみこ:奥ゆかしいって言ってもらいたいわ。
さて、前置きは、これくらいにして、早速、第四段落の1文目からいきましょう。
Comparing these results with previous research, the researchers concluded that food
art does not necessarily portray actual life.
ラッコ:そこそこ長いですけど、前半が分詞構文だって分かれば、後はサクサク構文解析
できました。
ゆみこ:not necessarilyが部分否定だって分かりましたか?
ラッコ:あ、動詞のportray にかけるのか、necessarilyにかけるのか、悩んだままスルー
していました。
ゆみこ:悩んだら先に進むのも一つの手だけど、戻ってくるのをお忘れなく。
では、構文解析をどうぞ。
ラッコ:Comparing these results with previous research, the researchers concluded
ad ┯ ③ a → O adp a → n S ③
[that food art does not necessarily portray actual life].
O 節 n → S zux ad → ad → ③ a → O
Comparing these results with previous researchは分詞構文です。
with previous researchはcomparingを修飾している副詞句です。
ゆみこ:今回はwith previous researchを動詞のcomparingにちゃんとかけていますね。
ラッコ:compare A with Bは受験英語では必須ですから。
ゆみこ:あの~意味も取ってくださいね。
ラッコ:ああ、そうでした。
ゆみこ:concludedの目的語になるthat以下の名詞節は、目印のthatもあるし、
分かりやすかったんじゃないかしら。
ラッコ:そうですね。でも、concludeの意味が分かりませんでした。
「結論付ける」って意味かなって思って構造解析しました。
ゆみこ:そうね。文脈の流れから想像できたってことね。
受験や資格試験だと文脈の流れから想像するのも大切よね。
でも、普段の勉強の時も、分からないからすぐ辞書を調べるのではなく、だいたい
こういう意味かなって考えてから辞書を引くことが大切です。
ラッコ:そうなんだよね。一度考えてからだと単語も定着しやすい気がする。
不思議だね。
ゆみこ:多分、脳が答えを求めるからじゃないかな。
脳って中途半端な状態が嫌いらしいから…。
では、次の文に行きましょう。
The researchers offered some explanations for this.
ラッコ:はいよ。
The researchers offered some explanations for this.
S ③ a → O adp n
for thisはofferedにかかる副詞句です。
ゆみこ:それもOKだけど、for thisは直前の名詞のexplanationsにかかる形容詞句と
考えてもいいわね。
ラッコ:そういうの困るよね。
どうやって判断したらいいの?
ゆみこ:シンプルに考えて、どっちにとっても同じ意味になるかどうかよ。
ラッコ:そんなんでいいの?
ゆみこ:この英文を書いた著者は、どちらかのつもりで書いたと思うから、厳密に言えば
正解は一つだけだと思うわ。
でも、正解を求めて、いちいち著者に問い合わせることもないと思うの。
常識的に考えて、どちらでも意味が通じるなら、取りたい方で取るので構わないわ。
ラッコ:ふーん。
ゆみこ:では、次に行きます。
One explanation is that artists painted some foods to express their interest in the
larger world.
ラッコ:これは問題なく構文解析できた。
≪誤≫ One explanation is [that artists painted some foods to express
a → S ② C 節 S ③ a → O ad ┯ ③
their interest in the larger world].
a → O adp a → n
that以下は補語になる名詞節。
それで、to expressの副詞的用法のto不定詞はpaintedにかかる。
in the larger worldはexpressにかかる。
ゆみこ:ええとね、この文のin the larger worldはinterestを修飾する形容詞句なのよ。
ラッコ:え? これも、どっちでもいいんじゃないの?
ゆみこ:うーん。
混乱させちゃうかもしれないけど、今度はinterestとinという前置詞の繋がりが
緊密なのよ。
訳も変わるでしょう。
ラッコちゃんの構文解析だと、訳は「彼らの興味をより広い世界の中で表現する
ため」となるけど、ここでは、「より広い世界に対する彼らの興味を表現するため」
の方がしっくりくるでしょう?
ラッコ:あう!
ゆみこ:正解はこちら。
One explanation is [that artists painted some foods to express
a → S ② C 節 S ③ a → O ad ┯ ③
their interest in the larger world].
a → O ← ap a → n
意味を取るのも助けになるけど、interestとinの緊密さにピンと来るためには、
英語に慣れるしかないかな…
ラッコ:そんな…
ゆみこ:大丈夫!千里の道も一歩からよ!
逆を言えば、最初から分からなくても気にしないってことも大切なの。
構文解析して、すぐに出来ないからって嘆き悲しむ必要はないってこと。
知識を入れるだけでなく、実践を積み重ねることが大切ってことね。
ラッコ:はーい。
ゆみこ:では、次に行きましょう。
Another is that painters wanted to show their technique by painting more
challenging foods.
ラッコ:内容が分かっているのもあって、この辺りも構文解析は楽にできたよ。
≪誤≫Another is [that painters wanted to show their technique
S ② C 節 S ③ O ┯ ③ a → O
by painting more challenging foods].
adp n ┯ ③ a a → n
これもthat以下が補語になる名詞節。
moreもchallengingもfoodsにかかる。
by painting more challenging foodsは副詞句でshowにかかる。
って、これは本当にshowにかかるんだよな?
もしかしてtheir techniqueか???
ゆみこ:あれ?
ラッコ:やっぱりshowじゃないの?
ゆみこ:そこじゃない…。
なぜmoreを、foodsを修飾する形容詞に?
ラッコ:だって、「沢山のやりがいのある食べ物を描く」で、あっているでしょう?
ゆみこ:moreだから、何かと比較して、より多いってことよね。
ラッコ:その国にありふれた食べ物と比較してってことでしょう?
ゆみこ:ブブー 表をちゃんと見てください。
challengingな食べ物よりも、やっぱりその国の食生活に馴染みのある食べ物の
方が多いでしょう?
ラッコ:あっ 本当だ。
ゆみこ:このmoreはchallengingにかかる副詞なんです。
ラッコ:細かい… 細かすぎる…。
ゆみこ:まあ、実際の読書の時に、そこまで厳密に意味を取らなくても、著者の言いたい
ことは大筋で伝わりますよ。
いつもの読書も、細かくすべきだとは思いません。
でも、やろうと思えば細かくできる実力は必要。
そうでないと、単語の修飾関係一つで意味が大きく異なることもあるんだから。
ラッコ:まあね。
日本語でも、ちょっとした思い違いのまま突き進んで、ちゃんと理解できない
ことってあるからな…
ゆみこ:そうよ。
なんとなくで全ての意味が正確に理解できるなら、受験の国語は全員が満点に
なるでしょ?
ラッコ:そうなんだよね。
ゆみこ:では、訂正した構文解析はこちら。
Another is [that painters wanted to show their technique
S ② C 節 S ③ O ┯ ③ a → O
by painting more challenging foods].
adp n ┯ ③ ad → a → n
次の文に進みます。
For example, the complexity of a lemon’s surface and interior might explain its
popularity, especially among Dutch artists.
これは、どうでした?
ラッコ:最後のespecially among Dutch artistsをどこにかけたらいいのか分からなくて、
一応explainにかける副詞句だって考えたんだけど…
ゆみこ:これは、its popularityにかかる形容詞句です。
ラッコ:なんかespeciallyの直前のカンマがあると、遠く離れた所を修飾するような気に
させられる。なんでだろう?
ゆみこ:カンマは区切れってイメージがあるんでしょうね。
ラッコ:そうそう。
マークシートで2ばっかり続くと、次も2はあり得ないって考えて失敗する
みたいな感じかな…
ゆみこ:似ている例えなのかしら…
このカンマはespeciallyの前によく出てくるカンマよ。
では、そこを訂正した構文解析をどうぞ。
ラッコ:For example, the complexity of a lemon’s {surface} and {interior} might explain
sdp n S ← ap a → n + n aux ③
its popularity, especially among Dutch artists.
a → O ad → ap a → n
ゆみこ:OK
では、次に行きましょう。
As other interpretations are possible, it is necessary to examine the paintings from
different perspectives.
ラッコ:こんな感じでどうでしょう?
≪誤≫〈As other interpretations are possible〉, it is necessary to examine the
節 a → S ② aC 仮S ② aC 真S┯③
paintings from different perspectives.
O adp a → n
で、from different perspectivesはexamineにかかる…
ゆみこ:ちょっと待った~
from different perspectivesはpaintingsにかかる形容詞句でしょう。
なぜなぜexamineに??
ラッコ:うーん。ちょっと後半疲れてきた…。
今なら自分もpaintingsにかける。
ゆみこ:ポカミスってことでいいのかしら?
ラッコ:まあ、そういうことになるのかな…
ゆみこ:ラストで息切れしないためにも、英語持久力を上げないといけませんね。
ラッコ:そんなの、どうやって上げるんだよ?
ゆみこ:フツーにあげるのよ。
規則正しい生活とか、化学物質まみれの食生活は止めるとか…
ラッコ:アスリートかい?
ゆみこ:そうよ。
ポカミスが多くて、「自分は、なんてバカなんだ~」って嘆いてる暇があるなら、
生活見直した方がいい場合も多いんだから。
ラッコ:そんなもんかね…
ゆみこ:では、訂正した構文解析はこちら。
〈As other interpretations are possible〉, it is necessary to examine the paintings
節 a → S ② aC 仮S ② aC 真S┯③ O
from different perspectives.
← ap a → n
ラッコ:あと2文ですね。
ゆみこ:そうね。最後まで頑張りましょう。
These are the period in which the paintings were completed and the cultural
associations of foods.
ラッコ:こんな感じでどうすか?
These are {the period (in which the paintings were completed)} and {the cultural
S ② nC adp n S aux – ③ + a →
associations of foods}.
nC ← ap n
in which the paintings were completedは先行詞のthe periodを修飾する形容詞節。
その形容詞節の最初のin whichはcompletedにかかる副詞句です。
ゆみこ:なんで難しそうな前置詞から始まる関係代名詞は見抜けるのかな…?
ラッコ:受験にでるからです!
ゆみこ:……
では、とうとう最後です。
Both issues will be taken up in the following sections.
ラッコ:構文解析はこんな感じで…
Both issues will be taken up in the following sections.
a → S aux aux –③ ← ad adp a → n
in the following sectionsは副詞句でtakenにかかる。
ゆみこ:最後はバッチリですね。
終わりよければ全てよし…です。
ラッコ:この最後の文は構文解析は問題ないけどイメージがよく分からなかった。
ゆみこ:それは、この文章が、本の中の一部を抜粋していて、次の章に移る前振り部分
だから、イメージが湧かなくてもしょうがないです。
ラッコ:そういうことか。
ゆみこ:それにしても研究者って面白いわね。
ラッコ:どうして?
ゆみこ:だって、絵描きが絵を描くのに、たった30分くらいで描けるわけないじゃない?
ラッコ:それは、そうでしょうけど…
ゆみこ:そうしたら腐りにくい物を描くのが当然だと思うのよね。
肉とか魚とか、あり得ないでしょう。
途中で蠅とか来ちゃいそうだし…
ラッコ:はあ…
ゆみこ:でも、そういうことを当たり前って決めつけないで研究する姿勢が大切
なんでしょうね。
ラッコ:なるほどね。
先入観は何でも害になるからね。
ゆみこ:そうそう。
最後に思い切り脱線しましたが、これで2019年英語センター試験の第四問の
問題文の構文解析講座は終了です。
また、機会があれば、参加してくださいね。
ラッコ:はーい。
どうもありがとうございました。
ゆみこ:ありがとうございました。
長文を読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。
構文解析の記号
主語 S
動詞 第1文型 ① 第2文型 ② 第3文型 ③ 第4文型 ④ 第5文型 ⑤
受動態の時は数字の前に「-」をつけて下さい。
目的語 O
補語 C
助動詞 aux
名詞 n
形容詞 a どの言葉にかかっているのか分かるように→で示すこと
形容詞句 形容詞句の始まりにある前置詞の下にapと記入し、それ以外の句の構成要素に
ついては、通常通り品詞を記入
副詞 ad どの言葉にかかっているのか分かるように→で示すこと
副詞句 副詞句の始まりにある前置詞の下にadpと記入し、それ以外の句の構成要素に
ついては、通常通り品詞を記入
接続詞
等位接続詞 +
等位接続の場合は、どれとどれが等位になっているのかを示すこと
{ }and { }
従属接続詞 接
形容詞節 ( )
副詞節 〈 〉
名詞節 [ ]